今月26日頃、試作品の作成に3Dプリンタを活用する人には嬉しい入門書『3Dプリンタによるプロトタイピング』が発売されます。
◆ひも状にした粘土を重ねていくように積み重ねて立体物を作り出していく装置は、1980年頃から積層造形装置として使われてきました。Rapid Prototyping (RP)システムとして迅速に試作品の作製するために活用されていました。この従来のRPシステムでは、大型で専用の設定環境が必要でした。
一方近年、比較的小型の同様な装置が「3Dプリンタ」として販売されはじめました。それが一般にも広く知られるようになってきたのです。
産業用途で扱うような装置は現在でも大型のものが多いようですが、今では装置の大小にかかわらず、一般的に知られるようになった名称である「3Dプリンタ」と呼ばれています。
◆製品をつくるときは何度も試作を重ね、実製品へとつなげていく工程(プロトタイピングといいます)を経ます。特に企業などでは3Dプリンタの活用によって、試作品制作のスピードアップやコストをダウンさせるツールとして、注目度が高くなってきています。
◆このようななか、3DプリンタのHow to本は数多く出版されています。その多くは、ソフトウエアを使って実際にものを作っていく内容が多いようです。しかし、本書ではこのような紹介はしていません。
本書では、3Dプリンタを、試作品から実製品へと結んでいくプロトタイピングのツールとして活用するときに、知らなければならない重要事項を多く取り上げています。
3D造形方式の基礎から3Dデータを3Dプリンタに読み込ませることのできるファイル形式、仕上がり精度、強度、塗装、また3Dプリンタによる金属の造形や、今後の課題についてもふれています。
最終章では地方独立行政法人 東京都立産業技術研究センターが技術支援した企業の実製品実例をあげて、各社実製品のニーズに適した3Dプリンタの活用法を紹介しています。
従来の3Dプリンタ本とは一線を画した貴重な情報が満載の本書を、ぜひ、書店等でお手にとり3Dプリンタの活用に役立ててください。
<ヒラカワ>
3Dプリンタによるプロトタイピング
東京都立産業技術研究センター 編
ISBN:978-4-274-05059-6
定価:2592円(本体2400円+税)
A5判/200頁
<目 次>
第1章 3Dプリンタを使うまでに知っておくべき基礎知識
1.1 3Dプリンタの位置づけ/1.2 立体物とは?/1.3 立体物の造形方法/1.4
積層造形法/1.5 3Dプリンタに適した用途を選択する
第2章 3Dに必要な3Dデータ
2.1 3Dデータの作成方法/2.2 3Dデータによる評価/2.3 3Dプリンターで使
用するファイル形式/2.4 3Dスキャナは必要ですか
第3章 3Dプリンターの主な造形方法
3.1 積層の仕方によって変わること/3.2 積層造形の分類/3.3 材料押出法
/3.4 バインダ噴射式/3.5 材料噴射式/3.6 光造形法/3.7 粉末焼結法
/3.8 パラメータの設定や特徴を理解した上での利用を
第4章 モデルへの塗装と滑らかさの評価
4.1 3Dプリンタで出力したモデルには、表面処理が必要/4.2 下塗りから中塗
りまでの塗装工程の検討/4.3 異なる方式で作製したモデルの表面の滑らかさ
の測定
第5章 金属モデルが作成可能な3Dプリンタとは
5.1 金属製品の成形方法/5.2 金型鋳造法と粉末冶金法/5.3 3Dプリンタに
よる金属の造形/5.4 従来の製造方法と比較した場合の課題
第6章 プロトタイピングの実際
6.1 設計確認、形状確認/6.2 性能確認/6.3 材料の特徴を生かした評価