鹿野です。
いきなり私事で恐縮ですが、高校生の頃に初めて触ったパソコンでは、起動するといきなりBASICというプログラミング言語でプログラムが書けるようになっていました。
当時のパソコン雑誌には、そのBASICで書かれたゲームのプログラムなんかが掲載されていて、それを一行ずつ、そっくりそのまま入力していったのが、自分にとっての「はじめてのプログラミング」です。
その頃は、目の前のパソコンに遊び半分でコードを入力しながらとりあえず実行してみて、その結果を見て「なんでそうなるのか」を考えていました。
実際、「コードを入力してみる→その実行結果を見る→その意味を考える→ちょっと変えてまたやってみる」という試行錯誤の繰り返しは、プログラミングの始め方として割とよくあるパターンだと思います。
それに適したプログラミング言語や環境については、さまざまな意見があると思いますが、どんなものを使うにしても、「飽きずにけっこうなレベルまで到達できる」ことが必要条件の一つといえるでしょう。
そんな飽きずに読み進めて気が付いたらけっこうなレベルまで到達できるプログラミングの入門書が、この『たのしいプログラミング Pythonではじめよう!』です。
英語の書名は "Python for Kids"(子どものためのPython)。
年齢が低い子どもでも読めるから "for Kids" なのではなく、母国語を子どもが話し始めるのと同じ気持ちで楽しくプログラミング言語を使い始めてみよう、という思いが込められたタイトルです。
「変数」とか「クラスとインスタンス」のような基本的な概念についての噛み砕いた説明や、手元ですぐに試して結果が見える例題は、ゼロからプログラミングに挑む際の心理的なハードルをぐいぐい引き下げてくれるはずです。
もちろん、随所に挿入されている不思議なイラストをはじめ、中学生くらいであれば一人でがんばって読んでも飽きないような工夫は本全体にちりばめられています。
本の後半には、実際に動いて遊べるゲームのプログラムが2つも紹介されています。
そのうちの1つは、最終的にはこんな2Dアクションゲームもどきになります。
左上のドアまでたどり着けばクリアなんですが、私は何度やってもクリアできませんでした。
正直なところ、このゲーム、本をここまで読み進めた人にとっては、プレイするよりも作るほうがはるかに簡単だと思います。
もちろん、すべて自分でコードを書くわけだから(書籍では4ページ半くらいの量です)、本を読み終わった後に遊びやすいよう自分で調整するという楽しみ方もありますね。
たのしいプログラミング Pythonではじめよう!
Jason R. Briggs 著/磯 蘭水・藤永奈保子・鈴木 悠 共訳
ISBN:978-4-274-06944-4
定価:本体2800円+税
B5変判/280頁